追手門学院高校・表現コミュニケーションコース活動ブログ

大阪府茨木市にある追手門学院高校・表現コミュニケーションコースの活動ブログです。普通課のカリキュラムに週8時間、演劇とダンスの表現教育を行っています。日々の活動の様子をお伝えします!

ヒョーコミプレゼンツ!#7 卒業生インタビュー【和田奈那美】

 

 

 

ヒョーコミプレゼンツ!第7回!!

インタビュアーは、表コミを「はじまり」から知る表現科教員の福岡が務めます★

 

3年後の未来が全く見えない中、2人の教員の言葉を信じてヒョーコミの道を築いてくれた一期生のななみ。在学中も自分の感性をしっかり持ってクリエイションに参加してくれていたのが印象的です。はじめての自画像作品は「しゃんとせい!自分!」で締めくくられていました。今も自分と対話をしながら、社会の中にアートの種を蒔いています。

 

―今の所属は?

今の所属はサントリーパブリシティサービス株式会社の文化ハピネス事業部の私は枚方市総合文化センターの事業企画グループに所属しています。

 

―社会人2年目?

3年目ですね。

 

―どんなお仕事してるんですか。

公演の企画制作がメインですね。文化芸術に関わる公演だったり、ワークショップだったりを市民の方に文化芸術を生活に入れこんでもらうために色々してますね~。

 

―音楽ともあるの?

音楽とかもあります。クラシック音楽が特にうちの会社はメインで。今年はそうでね、クラシック音楽と落語と、今勉強してて美術展とかも、去年は美術が多かったり、それこそ市民参加型ダンスWSの企画を立ててる最中ですね。

 

―広いね。

だいぶ広くて、もうジャズとかも今見に行ったり、こないだも文楽も見に行って、全然意味がわからなくて(笑)いや~もうほんとに“文化芸術“ですね。

 

―そうなんや。なんでその仕事に就こうと思ったの

芸術の市場価値を見出していくよりかは、もっと人と人とをつなぐような仕事、それこそもっと広く芸術に携われるもの。そして、人と人とを繋ぐ、人と芸術を繋ぐ方面にしたかったなと思って、たまたま引っかかったのがこの会社だったんですけど。ほんとに縁があって勤めることができたので今続けていますね。

 

―じゃあ高校の話になります。高校の時間、高校での表コミでの3年間どんな時間でしたか?

一番毎日全力で生きていたなと思います。それこそ表現も勉強の一部として扱ってもらえていたので、熱中して一生懸命になれてたなと思います。だし、1番純粋だったと思いますね(笑)感受性も1番高かった時期ですし、感情を言語化していくのも敏感な時期だったなと思います。考え方や、人とのコミュニケーションの取り方を培われた時間だったと思うので。そうですね・・・今何か困ったり何かあった時に解決しようとしたときの考え方は高校で学んだ時の考え方だったり行動だなと思える時間ですね。ほんとに、いい・・・いいってすごい浅いですけど、すごい素敵な大事な時間だったなと思います。

 

―例えばその困ったことを解決しようとした時に活かされている行動とか考え方って何がある?

例えば、大学までは趣味が合うとか、同じぐらいの知能というか偏差値が一緒なので会話をしてて理解ができる範囲の人しかいなかったんですけど。高校とかもそうだし。でも社会に出るとそうはいかないというか。取引先もできるし、それこそ市民とも接するし、自分が理解できない範囲の人たちが世の中にはいっぱいいて。それは会話をしても、お互いに理解しあえない、どうしても理解できない、共感できない人がたくさんいる中で、どうやって接していくかとか。この人とはわかり合えないから割り切って伝えるしかないとか、相手の立場に立ってみよう、立った上でやっぱりわからないこととかもたくさんあるから、じゃあ一回聞いてみようとか、逆に教えてもらおうとか。「わからないので今の気持ちを教えてくれますか」とか真っすぐ、関わろうと思えることだったり。

 

私は一回潰れちゃったので「今自分がこんなに不安なのはなんでなんだろう」、自分の自画像の時みたいに「自分は今どうして悲しいの?家に帰る時間が遅いから。」っていう風に、一個一個自問自答をして自分の状況を把握していくことがスムーズにできたなと思いますね。

 

―表コミのプログラム、授業の中で印象に残っていることはありますか?

印象に残っているのは、たくさんありますけど・・・なんだろう。普通の授業の中でだったら、「あいさつ」が私は結構、自分が成長したというか、自分が演出が好きなんだなとあの時に気づいたというか。あれが私の中で枠組みを外す、外し方の思考のきっかけになったなと思っていて。「おはようございます」で終わればいい。あとは自由だよという中で、結構私、案を出していた方だったんですけど。ここだけ決められているんだから、じゃあここにたどり着くには逆になになら入りやすいんだろうかとか。逆算して考えていったり、逆に27人だからこうしたら面白いかなとか、色々思考を自分でしてた。とか、なんだろう・・・あいさつが揉めるきっかけになってたので、そこでちゃんと話し合ったり険悪になったのも今思えばすごいいい経験だなと。なにかものを創ったり、チームで仕事をする上でも、何かを創ろうとするとよかったねって丸く収まることの方が少ないって思って。その過程を経験できたのがすごくよかったし。あとは体重を預け合うこと。日常の中でも、人に身体を預けるのってすごく難しいことだったよなって思って。それを信頼してみんな預けてたし預けられたし、日々の中で関係性を構築していく・・・どの授業といわれたら迷っちゃうんですけど。一つ一つのワークで一個ずつ関係性を築いて、体を預ける、預けられるという経験が素敵な時間だったなと思います。あと、西成のココルームに行ったときに私、結構衝撃で、茨木も治安のいいといわれている場所ですし。中でお話を聞いてて西成って悪い意味で有名で、他県の人でも「あの治安の悪いとこどこだっけ」っていわれて西成?って聞いたらそうそうみたいになるので。でもなんか西成って危ない場所だっていうイメージがあの時に消えて。確かに治安はよくないかもしれないけど、1人1人が一生懸命生きていて、それを助けようとしてたり。明日のことまで考えられていない人がたくさんいるけど、その代わり一日一日を一生懸命生きている人を間近で見ることができて。假奈代さんの言葉の中に、ホームレスって危ないイメージだけど、日雇い労働者の方だから夜は基本的に動いていない。でも危ないっていわれているのは結局、飛田新地があってそこから人が流れてきて酔ったおじさんとかがホームレスに絡んで喧嘩になったりするんだよねっていうのを聞いて。すごく、一方的にイメージだけでこっちが悪いって捉えられている中で現実的には全然そういう理由があったりするっていうのがすごく刺さって。西成のこと聞かれたりしてもそれを話すようになって。実際はこうだから、こっちのおじさんの方が悪くないって話すのができるようになって。假奈代さんの「知ったものは死刑だ」という言葉がその時は理解できなかったんですよね。言葉的には理解できるけど感覚として腑に落ちなくてずっともやもやしてたんですけど。大人として年を重ねていってだんだん理解できるようになったり。もう私は無邪気な高校生の自分には戻れないし、1つ1つの言葉がこの年になって腑に落ちてきたりしているなと思えたので西成の実習はすごいよかったなと思います。

 

―イメージだけで自分で捉えていたところが全然違う真実を知れた感覚はあった?

ありましたね。先入観でものを考えていたのかなっていう自覚がありました。西成も「親おっけいでた?」とか生徒間でもあったので、どきどきしてたというか、危ないところに行くのかというか。でも結局それって親も先入観だし、もちろん注意しとくに越したことはないけど先入観で自分の知らないことを知ったかのようにいうのは気をつけようと思いました。

 

―1期生は先が見えない中だったじゃん?どんな感じだった?

私たちの時って、自分を知る、相手を知る、上での共存みたいな流れもなくて。こっちもわかってなくて。これが何に繋がるのか、何に活かされていくのか、答え合わせができたのが多分3年生とかだと思うんですよね(笑)

 

―はいはい笑

という中で1年生の時とか筋トレと、立つ座る、歩く。ほんとに基礎の基礎のところを見通しが立ってないままやってた。これってなんのためにやってるんだろうって疑問がありながらの授業だったと思うので。それが見え始めたのが、全部総合的に生かされたダンスの授業がしっかり入り始めたり、演劇の授業が入り始めたらへんからだんだん落としこめていった気がします。

 

―なんかでも、毎回の授業は掴んでる感覚はあった気がする。毎回授業は楽しんでる・・・まあ楽しめる人、楽しめない人いっぱいあったけど。

うん~!

 

―そこでなんかあんまり退屈だなって感じはなかったと思う。

ないです。ないです。

 

―そうそう。ただ、今は楽しいけど、果たしてこのままでいいのか。これに何の意味があるのかってところがみんな不安で。

そうですね。

 

―最初の自画像も大変だったよね。内容だけじゃなくて、今の表コミのルールを築いた時代でもあった気がする。時間を守りましょうとか挨拶をしましょうとかさ、ほんとに初歩的なところの躾みたいな。

そうですねえ。

 

―だから今思うと1期生は、まずは表コミの文化を築くための、土壌・・・基礎、表コミでの言語を理解してもらう、みたいな人たちだったんだと思う。でもそれを理解して体現してくれた1期生がいたからちゃんと挨拶をするとか、そういう礼儀的なものとか、すごく基礎的なところだけど、ものを大切にするとか、人のことをちゃんと目をみるとか、ちっちゃいこととかも含めて後輩たちに引き継がれたんだと思う。だから、1期生はよく信じてついてきてくれたなって思うよ。

いや~ほんとに(首を横に振る)(笑)

 

―最後に表コミを色で例えると?

え~。私は赤が印象にあるかもしれないです。

 

―なぜ?

なんでですかね。一番最初のクラTが赤だったり、石井先生も熱血で赤だったり、個性は強かったけど、でもなんか赤のイメージがあるかもしれないです。自分の代だけでみてますけど。

 

―いやそうだと思う。5期とかは整ってるから。7期とかになると白っていうもん。

へ~。

 

―「私が見つけた色はオレンジだけど、みんなそれぞれ色を見つけてると思うからコースとしては白だと思う。」って。

あ~なるほど。

 

―7だからだと思う。1期ではそれはなかったよね〜! 

とりあえず、石井先生に付いて!この道を!って感じでしたね。

 

 

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〈最後に一言

私は表コミが大好きです。
表コミに関わる全ての人がハッピーな毎日を送れますように!