追手門学院高校・表現コミュニケーションコース活動ブログ

大阪府茨木市にある追手門学院高校・表現コミュニケーションコースの活動ブログです。普通課のカリキュラムに週8時間、演劇とダンスの表現教育を行っています。日々の活動の様子をお伝えします!

ヒョーコミプレゼンツ!#1 卒業生インタビュー【 河﨑正太郎 】

 



 

 さてさて、始まりました!ヒョーコミプレゼンツ!

 インタビュアーは、表コミを「はじまり」から知る

 表現科教員福岡が務めます★

 

 第1回目は1期生 河﨑正太郎(かわさきしょうたろう)さんです。

 大学を卒業して3年目。舞台芸術と共に生きていくと決めたわっさー。1期生として道を切り開いていた頃の記憶について聞きました!

 

ー今のお仕事は?

大学卒業後、2年間公共劇場で、劇場運営と制作をして、今はフリーで劇団、演劇祭、制作がいない団体の受付などの制作をやっています。

 

ー今の仕事のきっかけは何だったの?演者にはなろうと思わなかったの?

大学で演劇をしている時に、演者をするとこよりも、教育や劇場でアーティストとの関わることがあって、物事を成立させるような仕事にひかれたんです。大学3年生の時にはもう、企画制作のことを学べるゼミを選んでました。

 

ーへぇ〜!制作ゼミってどんなこと学ぶの?

最初はお金の話、書類の作り方や予算の組み方ですね。あとは、受付のお客さんの誘導、お客さんが快適にどう過ごせるのか考えたりします。広報、受付とか、お客さんが劇場で作品に出会う前のこととか、公演をどう成立させていくのかを考えていきます。

 

ーなるほど。そもそも、わっさーはいつから演劇が好きだったの?

入学する前まではミュージカルが好きだったんですけど、高校1年生の時に多田さんの東京デスロックとか、前田さんの五反田団とか、平田オリザさんの小さいサイズの演劇をみに行った時によくわかんないけど面白かったですよ。そこから、今のような小劇場の演劇に興味を持って、いろいろ見にいきはじめました。

 

ーじゃあ、表コミとの出会いで小劇場の演劇に出会ったんやね。では、表コミに入学した動機は?

え・・・いくところがなかったっていうのはあるんですけど(笑)普通の授業が苦手だったんですよね、とにかく座学が難しくて。山村留学にでも行くかって話にもなってたんです(笑)でも舞台芸術はすきで、中学はサッカー部だったから、身体を動かすのがすきだったんです。それでたまたま見つけて体験会に飛び込んだら、算数とかそういんじゃなくて想像力を使うようなワークで。それが楽しかったんです。

 

ーさっき、ミュージカルもやってたって言ってたけど、昔から芸術には親しみがあったん?

そうですね。父はもともと歌舞伎と落語とかの古典芸術が好きで、母は宝塚とかクラシック音楽とか、どちらかというと現代劇が好きで、親が趣味で見に行くのと一緒に連れて行ってもらってました。それで、いつの間にか自分もやってみたいって思うようになってました。

 

ーすごいね〜!めっちゃ恵まれた環境!わっさーにとって表コミでの3年間どんな時間だった?

在学中は、あっという間だった印象です。1期生っていうのもあって微妙に掴みきれない実感が残ってました。1年生のときは、よく分からない感じで、言われたことをやるっていうライン作業こなしてた感じ。2年生の頃から、行事とかも増えてきたのもありますけど、自分で何かをするイメージがつき始めました。でもやっぱり、卒業後に自分も芸術に携わるようになって、こんなに分厚いことをやっていたんだって思って、ほんとに幸せで有意義だった時間だなって思います。

 

ーね〜。1期生はいろいろあったもんね。じゃあ、わっさーにとっての表コミでの学びって言われたら何て答える?

そうですね…まずは、「想像力」ですね。やっぱり、自分1人で何かをすることなんて1つもなくて、自己に向けた想像力、他者に向けた想像力ですね。社会に出ると、自分の言語を持っている人、年齢や文脈、背景の違う人たちと関わることが多くて、学校教育の中では出会わない人たちと会って仕事するので、すごい役立っています。あとは、「自分が知らないことがめちゃくちゃ大量にある」ということを知りましたね。高校時代にココルーム(釜ヶ崎芸術大学)とか、ダンスの文脈で、高齢者や障害者と出会っていろんなものを見せてもらったことで、知らない社会、知識、情報があるんだと思いました。社会に出てから、世の中「知らないことがある」っていうことが自分の中におちていたので、何かわからなくても相手に聞いてみようと思えたし、アクションをおこせましたね。

 

ーわっさー、最初はすんごい知ったかぶりだったもんね(笑)

ですね(笑)「知らない」ことを恥ずかしいと思うよりも、「知ろうとする姿勢」の方が大事なんだって思えました。自分を大きく見せることよりも大切なことがあるのだと気がつきました。自分が多くを語るよりも、耳を傾けることに面白さがあるってわかった。人に耳を傾けることが面白いと思えました。

 

 

ー印象に残っている授業とかってある?もう結構前の話だけど…

えっと、当たり前ですけど、基礎を繰り返してやることですかね。自分の生活の中で、ルーティーンを作って、アップで身体の可動域を確認することとか、ランダムウォークとかいつも変わらないもの、環境を繰り返すことによって、自分の成長を感じることができてたと思います。自分を知るきっかけになってましたね。自分の感覚や部位や人に触れることを日常的に目を向けていくことで、その日の体調や変化に気づくことができてました。それで、そこから自己分析をして行動を振り返ったり、自分の癖や、気づきから問いを立てたり、日常の考えとリンクすることもあって面白かったです。

 

ー確かに、毎回ランダムウォークするもんね。他の授業と表現の授業は何が違ってた?

僕の場合、身体を動かすことが前提にあったことがよかった。「ずっと座っておきなさい」と言われることが苦痛だったので、すぐ動いていい環境がよかったし、自分に合ってました。なんか、身体が言葉を補足してくれる感覚もありました。中学校までは「正しくいなきゃ」があったけど、そうなれない自分がいて。でも、表現の授業で、自分に対する違和感、なりたい自分に対する違和感を認められるようになったなって思います。

ー1期生は私たちも必死だったけど、先生たちのことはどう見えてた?

先生みんな、フラットでした。年齢が違うけど、4人それぞれが専門性をもってたので。あと、TTとして一緒に創作をする、一緒に授業を受けていることが大きかったと思います。物事を教えることと、一緒に走る、動く、とは装いきれないものだから、それがよかったですね。そのときは「先生」というイメージではなく、ここはできて、できないこともさらけ出す感じがあって。

 

ーね〜!私も演劇のしりとりの時に全然言葉が出なくてできなかった(笑)でも、そのできない感じを見せるのって大事だよね。

そうそう、同じワークでも生徒の方ができることもあるし(笑)でもそんな一面を見た時に、自分と地続きの人間なんだと思えました。先生もできないことがあることを見ること、無意識にそれが当たり前になっていたことがよかったと思います。あとは、自分たちの表現を先生が面白がってくれて、よくわかってくれてました。あと、ポジティブな反応も、ネガティブなものも反応がダイレクトなのも良かったです。

 

ーコースの始まりってどうだった?全部初めての学年だもんね。

正直・・・何をしていいかわからなかったですね。最初の「自画像」が終わったときにカメラマンの方に「よくなかった」って言われ、何を求められているのか、何がゴールなのかがわからなかったです。先輩いないしわからないじゃん!って思ってました。上がいない、下がいない、他のクラス、受験、常に「わからない」が付き纏ってきてましたね。なんとなく嫌なものを感じることもありました。良かった部分は、ほんとにずっと付きっきりで見てもらえたことは、本当に幸せなことだったなって思います。今思うと、純粋に自分たち対先生たちの時間が贅沢だったって感じます。あと、一番上だったので、その後を全て見れたのは嬉しかったです。

 

ー後輩が増えていくことはどう感じてたの?

まじで嬉しかったです。つながっていくことでもらえる勇気が大きかったし、レプリゼント、自分が地元を背負うじゃないけど、文脈?自分の存在が紡がれてきた文脈があるから。自分はこの土地で生まれて、この人たちと関わってきて、確実に自分の人生になっていることも感じられて。それがどんどん増えることはものすごく誇りだったし、後輩たちを見てると自分たちの3年間よりもどんどん考える機会も増えて、コミュニティダンスの実習も僕たちよりももっと深い経験を得ているんだろうなって思います。続けていくことは、深くなっていくことだし、広くなっていくことだと思うし、カリキュラム、授業の充実、学びの広がり、深まりを感じられますね。

 

ーそうそう、5期生の子が初めて会うから大丈夫かな?って思ってたけど、会ってみると初めてあったようには思えなかったって言っていて、それってすごいなって思ったんだよね。

そうですよね。こうやって共通言語、価値観があるから繋がれるんだと思います。

 

ー今の8期生を見ていて、変化したと思うことと、変わってないと思うことって何かある?

変わってないところは、数え切れないほどあって、それは骨組みの段階で基礎がしっかりあるってことだと思います。その同じ土壌がある中で、でもやってる生徒によってカラーが全然違うように感じて、それがすごい面白いなって思いますね。創設して3年の3期生までの印象と今の生徒の印象が違っていて。それは、土壌がある程度あって、その上に立つ建物が違うのがこんなに面白んだって思うし、それから基礎の強度を感じるしリーチの広さがこんなにもあるんだって、今年の卒公を見てて思いました。今年の卒公、ダンスと演劇今年もすごい良くて。千秋楽だからっていう感動とも違って。この子達だから立ち上がるものがあって、それがすごくて、サイトスペシフィックっていうか、毎年変化しているし、面白いし、すごいなって思います。そして、マインドは変わってないと思います。結局一番大事なことは上手く踊れる、演技ができる人じゃなくて、誰かと何かを作るという目的は変わっていなくて、そこに想像力があるっていう根底が変わっていないし、最終的に誰かとものを作るということがここにはあるから、感動したんだと思います。

 

ーなんか、1期生にそう言ってもらえると自信になるな〜。すごい嬉しいし、誇りに思える。じゃあ、最後に表コミを色で例えるとわっさーは何色だと思う?

白ですね。全部の始まりでもあるし、なにものにでも染まれる誇り高い色、意思を感じる、変容できる色。あらゆるもに対して興味を持てる色いろんな方向に広がっていけるし、自分の色に対してはこの色に強いものを感じるので、白です。

 

▼在学中

 

▼劇場で働いていた時

 

▼ 現在

 

<最後に一言!>

本当に表コミを卒業できて良かったと今でも強く思ってます。これからも舞台芸術を通して表コミで学んできたことをさらに学び活かし広げていきたいと思います。