ヒョーコミプレゼンツ!第6回!!
インタビュアーは、表コミを「はじまり」から知る表現科教員の福岡が務めます★
表コミ入学前に大病を患っていたゆいちゃん。身体にハンディを抱えながらも、動くことや踊ることを諦めず、必死に自分に向き合った3年間について聞きました!
―今の所属を教えてください
大阪医療福祉専門学校視能訓練士学科の子供eyeコースに所属しています。
―なんでそこに進学したんですか?
自分が病気になっていろんな人に助けてもらったから、最初はお世話になった看護師になりたかったんですよ。でも、いろんなところに行ったけど脚の事があるから無理だって言われて。・・・で、お父さんの職場の人の奥さんが視能訓練士をやっていて、その方の話聞いて面白そうと思って、今の学校を選びました。
―将来も子どもに携わりたいの?
そうです!子どもが好きっていうのもあるけど、自分がちっちゃい時に病気になった経験があるから・・・。子ども専門にいきたいと思って。やっぱり障害あったら辛いこととか、結構生きにくいこととかあるから、そういうのなく、より快適に過ごしてほしいなっていう思いがあるんで、将来は困っている人とか、病気になってしまった人に、よりよく過ごしてもらうためにサポートしたいなって思っています。
―なるほど。では、ゆいちゃんの病気のことについて詳しく聞かせてください。
えっと、自分は小学5年生の2月ぐらいに左足が急に痛くなって、最初は体操とダンスとかやってたから、筋肉痛やと思ったんですよ。あ、痛いなぐらいやって。でもどんどん痛くなってきて、なんか尋常じゃない痛さというか歩かれへんし、なんか寝られへんし、痛すぎて、病院に行ったら、左大腿骨骨肉腫っていう病気やって言われました。
―その骨肉腫っていうのは癌?
そうですね。骨肉腫っていう骨と肉に広がっていく癌です。腫瘍が広がってる上に骨がペラペラになってるって言われて。すぐ入院して摘出手術しました。
―入院して、手術はどんな感じやったん?
入院してからは、抗がん剤治療と手術して・・・。10時間に及ぶ手術やったそうで、その手術で膝がほぼ曲げられへんっていう後遺症が残って、自転車もこげへんし、階段も1歩ずつじゃないと降りれへんしみたいな、あと走られへんし、膝曲げられへんくなりました。
―大変やったんやね。その後は、動くことはできなくなったの?
そうですね。中学校では、動くなって感じでした。もう、なんかあったら怖いから動くなみたいな。で、車椅子生活やって。けど、中1の後半からは、杖で歩いとったんですよ。で、その、中3の時ぐらいから卓球は上半身だけやしそんな動かんからまぁあんま危なくないからって感じで一番やったかな。その他にも危なくない事はその支援学級で沢山させてもらいました。
―そうか、でも動けない状態もあったのに表コミに入ろうと思ったん?
学校説明会の時に最初は無理やって思ってたけど、とりあえず話だけ聞きにいこうって親が言ってくれて、石井先生と話したら、もう石井先生がもう神様みたいで(笑)話も全部うんうんって聞いてくれて「由衣ちゃんならできるよ」って言われて。えぇ?できるわけないって思ったんですけど、「やりたい気持ちがちょっとでもあるなら来てみたら?挑戦してみたら?」って言ってもらえて、自分も「もう1回ダンスしたい!」と思ってたから、挑戦してみたいと思ったんです。
―じゃあ、その時はまだ不安だったん?やりたい気持ちはあったけど、やれないでしょって思ってるのも強かったんかな?身体的にも。
うん・・・中学校で体育皆でやってもないし、親に無茶するなって止められてたから、急に出来んのかな?っていうのもあるし、そん時は、ほんまに歩くのもそんな遠くまで歩かれへんかったから、こんな状態でダンスなんてできるわけないって思ってたし、不安しかなかったですね(笑)入りたさは1、2割ぐらいで、不安の方が断然おっきくて、入学式とかもう死にそうでした(笑)なんか場違いちゃうかなとか思ってめっちゃ緊張してました(笑)
―入学してから、私たちは「できることをやってみよう」っていうスタンスだったと思うんやけど、ずっと動くなって言われてきて、そう言われた時はどんな気持ちやったん?
え、最初怖かったです。なんか、これやったら脚が折れるんちゃうかなとか、やったことないからそもそも自分がどこまでできるかわからんくて。でも1回、後転か前転かなんか忘れたけど、なんかみんなでやってる時に、先生にちょっと持っといてあげるからやってみって言われて、やったんですよ。そしたらなんか出来ちゃって(笑)そこから、え待って出来るやん(笑)って思って。それまではもう動けへんからみたいな、みんなの見とこうぐらいやったけど、そっからなんかもう扉開けられたみたいな(笑)じゃあこれ出来るんかなみたいな?動きたい衝動が大きくなりました。
―3年間を通して由衣ちゃんが変わったなって思うことはある?
変わったな・・・え、でも心も強くなった。なんか今、すごいなんか色々挑戦したいなって思ってて。
―心もってことは身体も強くなった?
あそうです。今は歩けるし、もう全然1日中ほんまに杖なしで遊びに行ったりとかもするし、体幹?昔、よく脚かくんって力が勝手に抜けて転げそうなってたんですよ、ほんまに筋肉なさ過ぎて。けどそんなんないし今、ちょっと押されても踏ん張れるぐらいの力も付いてるしって感じで。心はなんやろ、たぶん挑戦する前から諦めてたんですよ。けど、今はちょっとやってみようとかなんか新しいこと挑戦したいなっていう気持ちが増えてきてて楽しいです(笑)
―今さ、ここでの学びが役立ってるな~みたいなことってある?
・・・でも、なんか、自分でもっと発信しないとあかんなっていうのを感じてます、今。高校3年間はそんなに感じてなかったあんまり。やってくれるからみんな、引っ張ってくれる人がおるから、もうなんか自分は多分ここにおった方が1番いいんやろうなみたいな。だから、動かんかった、1番安全圏におったみたいな。けど、今は引っ張ってくれる人がいなくなって、自分でやらなあかんし、自分で発信しだした所ではあります。
―挑戦してるんだ!
そうですね、あと、相手のこともちゃんと考えるようになりました。前は自分が発信しない方やったから、今、多分この子こう思ってるやろなっていうのがちょっとわかって、どっちの立場も今分かったっていうか。今は、相手の気持ちを考えることと自分の意見を出すことをだいぶ両立出来るようになってきてると思います。だからちょっと楽?やなって思います。ずっと相手!相手!相手!と思ってたから(笑)自分のことで精一杯すぎて、もっと相手の事を考えないとと思ってたから、今はだいぶ楽です。
―じゃあ、表コミを色で例えると、由衣ちゃんは何色だと思いますか?
色、えぇ・・・え、でもなんかいろんな色あると思う。何色・・・なんかめっちゃ暗い色からめっちゃ明るい色まであると思う。黒とか茶色とかもあるけど、なんか黄色とか水色とかオレンジもあって、決められへんっていうか
―それはなぜ?
そこで色々経験して楽しかったことも、その辛かったこともあるから、多分いろんな色があるっていうか、みんなの声とかはやっぱオレンジとか黄色って感じするし、そこの空間自体は明るい感じ水色とかって感じやけど、色々感じてきていろんなことがあったから黒とか茶色もあるし、けどやっぱ楽しかったから赤とかもあるしみたいな(笑)いろんな色です(笑)虹色、じゃないけど、いろんな色がある。
―そうだよね。楽しいだけじゃなかったもんね。ゆいちゃんにとって1番は、自分と向き合ったみたいな事が大きい?
あーめっちゃ大きいです。なんかずっと自分と向き合ってたと思う。それはしんどくて、なんかもうどうしたらいいのか分からんかったけど、その時考えてたことが今になって、頑張る糧になってるというか。自分と向き合うの大事やなって思います。
―さっき、その時は病気のことも整理できてなかったからって言ってたけど、この、3年間通してその病気のこととかも受け入れられたりした?
だいぶ、受け入れてます。誰かに話すのは、そんなにやっぱ、なんか仲良くなってこの人に話していいと思ったら話したいけど、なんか自分から話すのは重たい話じゃないですか。しかも普通に歩けてるし、タイミングないから大学ではまだ話してないけど、そういう機会があったら全然話すと思います。なんかもう受け入れてるから話せる。
―例えばさ、他のコースに通ってそこって向き合ったと思う?
絶対無理やと思う。ずっと、自分が生きる理由が欲しくて、最初。誰かの役に立たないと自分が生きる理由はないんじゃないかと思ってたから、表コミではなかったらたぶんずっとそういう人生やったと思います。ここで自分でも色々やっていいんやって思ったし・・・なんか楽しくなりました。(笑)
―由衣ちゃんにとってさダンスとか表現することってどういうこと?
どういうこと。えぇ、どういうこと・・・自分と向き合うこと、かな。楽しいし、自分の心のままに踊れるというか・・・難しい
―なんかだってさ、明らかに踊ってる時の由衣ちゃんは普段と違うもんね(笑)踊ってる時は、めっちゃ強くて、なんか宿ってる感じする!
踊ってる時は、その時の自分の感情を出してるって感じです。考えてないっていうか考えられへん(笑)心のままにやっちゃえみたいな(笑)感じ。
―授業の中でもそうだけど、イベントでも、吐き出せない感情を出すみたいなことをやること、表現することは、由衣ちゃんにとってどういう意味があった?
なんか、心のシャッターみたいなんを壊すものでもあったと思うし、その、自分の意見とかも言えるきっかけにもなった。感情を押し殺す方だったんですよ、思っても。けど、出すことで色々感じるようになったというか、繊細に感じるようになった。なんか自分が泣いてたとしてもあれなんで泣いてんのやろぐらいやったけど、あーこう思ったから泣いてんのやって感じるきっかけになりました。
―よかったね。これからも自分の心にも目を向けてあげてね。ありがとう~
ありがとうございました!
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▼現在
〈最後の一言〉
表コミでの三年間は、私は泣いてばかりだったと思います。
自分と向き合うからこそ苦しくなって、自分の不甲斐なさをよく感じていました。
しかし、「限界を自分で決めるな!」という言葉や、正直に言葉をぶつけ合える友達がいる事、安心して過ごせる居場所がある事は幸せだったと改めて感じました。
物事を深く考えるようになり、違いを認め誰かと共に生きていくという事を深く感じられる場所でした。これからも、表コミでの学びを大事にして、夢に向かって頑張ります。